米国知的財産権日記

suziefjpさんのウェブログ「米国知的財産権日記」、 特許権侵害の懈怠(laches)についての連邦最高裁判決である SCA Hygiene Products Aktiebolag v. First Quality Baby Products, LLCの解説が素晴らしい。iptomodach.exblog.jpこのウェブログは2008年から始…

特許法と行政法との関係(2014年行政不服審査法改正対応版)

(日本における)特許法と行政法との関係は、例えば、吉藤幸朔『特許法概説〔第10版〕』(有斐閣,1994)563頁以下や木村耕太郎弁護士のウェブログにまとめられているが、2014年行政不服審査法改正前のものなので、改正後のものを整理してみた*1。主な情報ソ…

プロパテントへの揺り戻しか?―PersonalWeb Technologies, LLC v. Apple Inc. (Fed. Cir. 2017)

本事件は、特許権者である原告が、IPRにおいて、対象特許発明が2つの先行技術文献の組み合わせから自明であると判断されたことを不服として、CAFCに上訴したものである。本判決で、裁判体*1は、PTABのクレーム解釈は是認したが、非自明性については、 2つの…

IPR中の補正 ― In re Aqua Products, Inc.

IPR中に補正を行なう場合、補正後クレームが特許性を有することを特許権者が証明しなければならないとした(PTAB決定を認めた)2016年5月のCAFCパネル判決*1*2、en bancで再審理されることになっていたのか。なお、Oral Argumentは2016年12月に実施済みで、…

iOS版 Black's Law Dictionary, 10th Edition

一部の単語は発音も教えてくれるし、何より(紙書籍よりも)安いので、おすすめ。(これは紙書籍にもあるのだろうけれども)法格言(Legal Maxims)集などのAppendixも充実している。Black's Law Dictionary, 10th EditionThomson Reuters辞書/辞典/その他¥6…

Tinnus Enterprises, LLC v. Telebrands Corporation (Fed. Cir. 2017)

本判決は、CAFCが、テキサス州東部地区連邦地裁による暫定的差止め命令(preliminary injunction)*1を維持した事案である。ユーザーマニュアルが(ユーザによる)直接侵害の証拠になるか等、興味深い論点がいくつか議論されているが、 なかでも面白いのが、暫…

19世紀の米国特許法には先使用権があった?

武生昌士「英米特許法における先使用概念に関する一考察」日本工業所有法学会年報38号(2015)10頁によれば、 1839年米国特許法には、「既得権条項(vested rights clause)」というものが存在したらしい(1952年改正で削除)。 既得権条項は,新規に発明され…

米国の先使用権の範囲

米国の先使用権(35 U.S.C. § 273)の範囲(実施態様の変更はどの程度認められるか)を調べようとしたが、 American Invents Actより前は、先使用権の適用がビジネス方法(a method of doing or conducting business)に限定されていたため、この論点はもちろん…

そーとく日記

想特 一三さんの特許権存続期間延長についての論考は、いつも大変勉強になる。(↓最高裁の「高」が「はしごだか」で書かれているため、文字化けしているな……。 2017-02-12追記:いつの間にか「高」が修正されていた!) thinkpat.seesaa.net

実施可能要件とサポート要件との関係―知財高判平成29年2月2日(平成27年(行ケ)第10249号等)

本件は特許有効審決に対する審決取消訴訟事件であり、判決は審決を維持した*1。知財高裁第4部 高部コートの判決である*2。進歩性も論じられているが、注目すべきは、実施可能要件とサポート要件との関係を述べた点にあるだろう。 特許請求の範囲の記載がサポ…

【未完成版】Eli Lilly and Company v. Teva Parenteral Medicines (Fed. Cir. 2017)

本判決は、いわゆる複数主体の関与する特許権侵害、さらには間接侵害を扱っている*1。結論として、裁判体*2は全員一致で、被告=被疑侵害者の間接侵害を認めた。本件の対象特許発明が複数の薬剤の投薬方法の組み合わせである方法クレームであるところ、 この…