特許法の八衢

最高裁

効果の『非予測性』および『顕著性』

はじめに 最高裁判決 最三小判令和元年8月27日集民262号51頁(平成30年(行ヒ)第69号)には、次の判示がある。「原審は,結局のところ,本件各発明の効果,取り分けその程度が,予測できない顕著なものであるかについて,優先日当時本件各発明の構成が奏する…

発明の予測できない顕著な効果の有無の判断において、「顕著性」に加え「非予測性」を検討する意義

発明の予測できない顕著な効果について判断した、最高裁判決最三小判令和元年8月27日集民262号51頁(平成30年(行ヒ)第69号)には、次の判示がある。「原審は,結局のところ,本件各発明の効果,取り分けその程度が,予測できない顕著なものであるかについて…

Ginsburg判事と国際消尽

はじめに 2020年9月18日、Ruth Bader Ginsburg連邦最高裁判事が亡くなった。彼女はその反対意見が注目されることも多かったが、知的財産法関係でも「国際消尽」について2度、反対意見を述べている。 Kirtsaeng事件 1度目の反対意見は、著作権の国際消尽を認…

続続・最高裁は効果の独立要件説を採ったのか?

最三小判令和元年8月27日集民262号51頁(平成30年(行ヒ)第69号)は民集に登載されないため、いわゆる調査官解説は出ないものと考えていたところ、Law & Technology 87号に、大寄麻代最高裁調査官による本判決の「解説」(以下、本調査官解説)が掲載された*1…

続・最高裁は効果の独立要件説を採ったのか?

はじめに 飯島歩弁護士の「進歩性判断における予測できない顕著な効果の位置付けに関するドキセピン誘導体含有局所的眼科用処方物事件最高裁判決について」という論考(以下、飯島最判判批と称する)が公表された。そこでは次のように、本最高裁判決(最三小…

最高裁は効果の独立要件説を採ったのか?

はじめに 最三小判令和元年8月27日(平成30年(行ヒ)第69号)において、最高裁は、進歩性判断での発明の効果の取り扱いにつき(「二次的考慮説」ではなく)「独立要件説」を採ったという見解がある*1 *2。しかし、私には、最高裁が独立要件説を採ったとは感じ…

そーとく日記

想特 一三さんの特許権存続期間延長についての論考は、いつも大変勉強になる。(↓最高裁の「高」が「はしごだか」で書かれているため、文字化けしているな……。 2017-02-12追記:いつの間にか「高」が修正されていた!) thinkpat.seesaa.net