特許法の八衢

間接侵害

用途発明に関する特許権について差止請求が認容された事案 ― 東京地判令和5年2月28日(令和2(ワ)19221)

1 はじめに 本件(東京地判令和5年2月28日[令和2(ワ)19221])は、特許権者である原告が、被告の行為が特許法101条2号規定の間接侵害に当たるとして、差止めを求めた1事案である。 東京地裁は、原告の請求を一部認容2した。しかしそれは過剰差止めのように…

物の発明および方法の発明についての記すまでもない話

「発明は本質的に方法という性質を有している」*1。たとえば、次の【装置クレーム】は、【方法クレーム】を実現する上での「道具」を規定しているに過ぎない。【装置クレーム】 アイコンの機能説明を表示させる機能を実行させる第1のアイコン、および所定の…

Eli Lilly v. Teva Parenteral Medicines (Fed. Cir. 2017)と日本法制とに関する覚書

Eli Lilly v. Teva Parenteral Medicines (Fed. Cir. 2017) はじめに 本件Eli Lilly and Co. v. Teva Parenteral Medicines, Inc., 845 F.3d 1357 (Fed. Cir. 2017)は、先発医薬品企業である特許権者=原告Eli Lilly and Co.が、後発医薬品企業=被告Teva Pare…

Eli Lilly v. Teva Parenteral Medicines (Fed. Cir. 2017)と日本法制とに関する覚書

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多機能品型間接侵害規定はいかにして生まれたか ― 平成14年特許法改正について

はじめに 「特許法等の一部を改正する法律案(平成14法律24)に関する法律案審議録に含まれる行政文書のうち、特許庁から内閣法制局に提出されたもの。」について、私が開示請求を行ない入手した文書のうち、間接侵害規定および実施の定義の見直し(「プログ…

特許法101条4号による間接侵害成立の妥当性 ― カプコン v. コーエーテクモゲームス事件控訴審判決

(本稿は、同名の前回記事が分かりにくかったため、前回記事の文章構成を全面的に見直したものです。) 問題の所在 特許法101条4号は「特許が方法の発明についてされている場合において、業として、その方法の使用にのみ用いる物の生産、譲渡等若しくは輸入…

【新版あり】特許法101条4号による間接侵害成立の妥当性 ― カプコン v. コーエーテクモゲームス事件控訴審判決

(2019-11-10追記:本稿が分かりにくかったため、新たな記事を作成しました。本稿は記録のために残してあります。) はじめに 本判決 知財高判令和元年9月11日(平成30年(ネ)第10006号等)にはいくつかの論点があるが、本稿では、方法の特許発明に関し特許法…