特許法と行政法との関係(2014年行政不服審査法改正対応版)

(日本における)特許法行政法との関係は、例えば、吉藤幸朔『特許法概説〔第10版〕』(有斐閣,1994)563頁以下や木村耕太郎弁護士のウェブログにまとめられているが、2014年行政不服審査法改正前のものなので、改正後のものを整理してみた*1。主な情報ソースは総務省の行政不服審査法改正に関する資料である。


特許庁長官,審査官,審判官といった行政庁のなした処分および不作為については、行政不服審査法4条の定める所定の行政庁への「審査請求」*2という形で不服申立てができる(行政不服審査法2条および3条)。

ただし、特許法では、「査定、取消決定若しくは審決及び特許異議申立書、審判若しくは再審の請求書若しくは第120条の5第2項若しくは第134条の2第1項の訂正の請求書の却下の決定並びにこの法律の規定により不服を申し立てることができないこととされている処分又はこれらの不作為については、行政不服審査法の規定による審査請求をすることができない。」(特許法195条の4)と例外を設けている。


また、処分の取消しを求める場合、上述の審査請求をしてもよいが、裁判所へ取消訴訟を提起してもよい(行政事件訴訟法8条1項本文;自由選択主義)。ただし、「法律に当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ処分の取消しの訴えを提起することができない旨の定めがあるときは、この限りでな」く(行政事件訴訟法8条1項ただし書き)、訴訟提起前の不服申立てを必要とする(不服申立前置)。

かつては多数の個別法で不服申立前置主義を採っていたが、2014年行政不服審査法改正に伴い、これらの多くで不服申立前置の廃止または縮小されることとなった(行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律)。

特許法においても、「この法律又はこの法律に基づく命令の規定による処分(第195条の4に規定する処分を除く。)の取消しの訴えは、当該処分についての異議申立て又は審査請求に対する決定又は裁決を経た後でなければ、提起することができない。」と規定する184条の2は削除された(行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律227条)。

もっとも、特許法は依然として、「拒絶査定」については、拒絶査定不服審判を経なければ(審決を受けなければ)、裁判所へ取消訴訟を提起できない(特許法121条1項および178条6項*3)。すなわち、「拒絶査定」については、不服申立前置が存置されている。この理由は、審判に「一審代替性」があり(審決に対する不服は[地裁ではなく]高裁に訴訟提起する;特許法178条1項)、国民の手続負担の軽減が図られているからだとされている。

*1:もっとも、筆者は、行政法については、特許法以上に初学者であるため、誤りが含まれている恐れがある。誤りを見つけた方は、是非コメント欄でご指摘いただきたい。

*2:不服申立ての方法として、従来は「審査請求」と「異議申立て」とが併存していたが、2014年行政不服審査法改正により「審査請求」に一元化された。

*3:木村弁護士は「特許法は、「拒絶査定」に対して審判を請求できるとは書いている(121条)が、いきなり取消訴訟を提起してはいけないという規定の仕方にはなっていない。なぜなのか、よくわからない。」と書かれているが、おそらく178条6項に由来するものだろう。