特許法の八衢

2019-09-01から1ヶ月間の記事一覧

続・最高裁は効果の独立要件説を採ったのか?

はじめに 飯島歩弁護士の「進歩性判断における予測できない顕著な効果の位置付けに関するドキセピン誘導体含有局所的眼科用処方物事件最高裁判決について」という論考(以下、飯島最判判批と称する)が公表された。そこでは次のように、本最高裁判決(最三小…

棋譜の「限定提供データ」相当蓄積性の充足性

はじめに 棋譜は不正競争防止法上の「限定提供データ」として保護できるかも知れない、との伊藤雅浩弁護士のTweetに触発され、棋譜と「相当蓄積性」(後述)との関係について思い浮かんだことを、以下に記す。ただし私は、不正競争防止法はもちろん、将棋に…

最三小判令和元年8月27日(平成30年(行ヒ)第69号)後の差戻審についての覚書

最三小判令和元年8月27日(平成30年(行ヒ)第69号)を受けて、差戻審では、新たな手法により効果顕著性を判断することとなるところ、最終的に出される結論は(和解を除くと)次の3通りだろう: 効果顕著性の存在を認めず、進歩性否定 効果顕著性の存在を認め…