特許法の八衢

2020-10-01から1ヶ月間の記事一覧

American Axle & Manufacturing v. Neapco Holdings ― 米国における特許適格性について

はじめに 米国CAFCにおいて、ついに機械系の発明についても特許適格性が否定されたとして話題となった事案*1について、ごく最近新たな動きがあり、興味をそそられたため、以下に記す。 英語および米国法制に対する私の理解不足により、誤りがある可能性があ…

知財高判令和2年5月27日(平成30年(ネ)第10016号) ― 特許発明が侵害品の一部分のみに過ぎない場合において102条2項の推定覆滅を認めた事案

はじめに 知財高判令和2年5月27日(平成30年(ネ)第10016号)は、特許権者[原審原告;訴訟承継前控訴人]からその権利義務を包括承継した控訴人(以下、訴訟承継前控訴人と控訴人とを区別せず「控訴人」と表記する)が、被控訴人[原審被告]による本件噴霧…

特許発明が侵害品の一部分のみに過ぎない場合における102条2項に基づく賠償額算定

はじめに 令和元年特許法改正により、102条2項による損害賠償額の推定について覆滅が認められたとしても、その填補が認められる場合があると考えられている(詳細は後述)。それでは、特許発明が侵害品の一部分のみに過ぎないことが理由により推定覆滅が認め…

『知的財産法の挑戦II』

はじめに 同志社大学知的財産法研究会10周年記念論文集『知的財産法の挑戦II』(弘文堂)が発刊された。各知財法分野について興味深い論文が納められた論文集*1であるが、ここでは「第II部 特許法」の各論文についてのみ簡単な紹介を行なう(論文の解釈に誤…